サクランボの生産でも知られ果樹王国とも言われる山形県は、全国的にも有名な蔵王連峰や最上川、そして最上川が流れ着く日本海と、山・川・海と自然にとても恵まれた土地です。自然以外にも芭蕉ゆかりの古刹(こさつ:由緒ある古い寺)、立石寺や上杉謙信公を祀る上杉神社に銀山温泉をはじめ県内には多くの温泉があり、旅の疲れを癒してくれます。

<お土産>
山形県のお土産と言えば、ずんだ餅、さくらんぼが有名ですね。菓子系では、シベールのラスクフランスや蔵王銘菓の樹氷ロマンなどが人気です。山形県のお土産
山形県への遠方からのアクセスは、内陸側であれば山形新幹線や山形空港、酒田や鶴岡を中心に観光するのであれば庄内空港を利用するのがお薦めです。新幹線の場合は新庄駅から陸羽西線で酒田駅又は鶴岡駅まで約1時間です。山形空港から山形市内へは鉄道、バスはありません。山形空港ライナー(乗合タクシー、30分1200円)が便利です。予約なしでも乗れる確率が高いですが、念の為電話予約(TEL:023-684-9500) しておいたほうが安心です。庄内空港から酒田、鶴岡市内へはリムジンバスが酒田駅(35分730円)、鶴岡駅(25分740円)方面に便到着10分後くらいに発車します。
山形県の観光地は日本海側の酒田、鶴岡エリアと内陸側の山形、米沢エリア、そしてその間にある最上エリアとに分かれています。旅行は数日、又は何回かに分けて行くのがよいでしょう。ちなみに、山形から酒田まで鉄道を利用した場合、2時間以上かかります。
山形駅周辺の繁華街は少し離れた場所にあります。丸く囲ってある場所が山形一の繁華街、七日町(なぬかまち)です。徒歩でも行ける距離ですが歩いて15〜20分程度かかります。9:30〜18:30の間であれば100円循環バスがお得で便利です。山形駅〜七日町〜霞城公園〜山形駅と10分間隔で一周してくれます。山形空港からの乗合タクシーでは、山形駅の他にも宿泊するホテルなどでも降ろしてもらえます。
山形県一の繁華街、七日町です。県一といっても夜には殆ど出歩く人は見当たりません。昼間も賑やかといった印象は少なく、若者たちも皆、仙台方面へと遊びに出かけるものと思われます。その為、近くには仙台行きのバスの本数も多く、10分間隔で山形駅他周辺から仙台駅まで(約70分900円)で走っています。電車を利用して仙台駅まで行く場合も、ほぼ同額で時間もそれほど差がありません。
山形駅を七日町とは逆方向に出ると、24階建ての霞城セントラルという官民複合型ビルがあります。最上階の展望台、空中回廊は無料開放されているので山形盆地の360度パノラマ風景を楽しむことができます。

4月・11月の土日祝
10:00〜16:00 開放

5月〜10月の土日祝
9:00〜18:00 開放

●立石寺(りっしゃくじ。通称名は山寺)
山形県の観光で一番の名所と言えば通称、山寺でも知られる立石寺ではないでしょうか。立石寺は平安時代に円仁(えんにん。又は慈覚大師)が開山したと言われています。写真は納径堂(左)は開山堂(右)

江戸時代、俳諧(俳句の源流)を詠んだ有名な人に松尾芭蕉がいます。松尾芭蕉は、おくの細道(江戸から東北、北陸を旅した156日間の紀行文)の中で、ここ立石寺で「閑(しずけ)さや巖(いわ)にしみ入る蝉(せみ)の声」の有名な句を詠んだことでも知られています。あまりの静けさにセミの声すらも岩にしみ込んでいくようだとの意味だそうですが、現在もその静けさは保たれています。
ですから、ここへ訪れたのなら周りの人に迷惑にならないよう静かに景色を楽しみましょう。

開山堂のすぐ上の場所に山寺で一番展望のよい、左の写真、五大堂があります。

<住所>
山形県山形市山寺4456-1

<入山時間>
年中無休 8〜17時(入山料300円)
<アクセス>
山形駅から仙山線で約20分、230円。1時間1本程度しかありませんので注意です。山寺駅より徒歩約10分で山寺登山口。
なんとも古びた駅舎がいい雰囲気です。仙台駅からも近いので、こちらからのアクセスも車窓からの眺めが最高なのでお薦めです。仙台駅からは約1時間、820円。
五大堂のある頂上までは約1000段の石段があります。体力に自信があってもかなり辛いです。静けさを楽しみながら、ゆっくりのんびり登っていきましょう。

山寺駅から登山口までの道中には、夏場には凍らせた飲料水やタオルも売っています。必ず持参しましょう。
写真は弥陀洞(みだほら)。ながい歳月の風雨が直立した岩をけずり、阿弥陀如来の姿をつくり出し一丈六尺(約4.8m)の姿から丈六(じょうろく)の阿弥陀ともいい、仏のお姿に見ることができる人には、幸運がおとずれるとのこと。私には仏様には見えませんでした・・・
左右に安置された仁王尊像は、運慶の弟子たちの作といわれ、邪心をもつ人は登ってはいけないと、睨みつけている。後方の閻魔王(えんまおう)がこの門を通る人たちの過去のおこないを記録するらしい。う〜ん、おっかないなぁ・・
四十余の堂塔がありますが、この写真(右の写真)が一番の絵になるショットです。

慈覚大師は、東北各地に多くの寺院を建立しましたが、立石寺の創建には特に力をいれ、明るく正しい人間を養成する道場として確立させました。鎌倉時代には約1000名もの修行者が居住していたと言われます。

最後に五大堂を見学した後、帰りは違うルートから下山します。

●上杉神社
米沢を代表する観光地と言えばここ上杉神社でしょう。上杉神社は戦国時代の武将、上杉謙信を祀った神社です。遠くに毘と龍の旗印が見えますね。毘(び)は毘沙門天のから取った文字であり、上杉謙信は毘沙門天を厚く信仰していたそうです。

<住所>
山形県米沢市丸の内1-4-13
<参拝時間>
6〜17時(12〜3月は7:00から) 無料、無休 
稽照殿は9:00〜15:45 入館料400円
上杉謙信(長尾景虎)
新潟県上越市にあった春日山城に生まれた長尾景虎(上杉謙信)は、武田信玄や織田信長などと戦ったこともある戦国武将です。数々の越後の内乱を治め、謀反を起こした黒田氏を滅ぼすなど徐々にその頭角を現します。天文年間、武田晴信(武田信玄)の信濃侵攻と北条氏康による北関東侵攻に対しては、北条軍を撃退。武田信玄とはその後、計5回、12年余りにも及ぶ有名な川中島の戦いへと発展していきます。特に4度目の合戦は激しく、双方死者は7000余と言われています。結果は引き分けとなりましたが、両者とも書状では勝利を主張しています。

その後は手取川の戦いで織田軍に大勝するなどし、あの織田信長ですら上杉謙信の存在を恐れ、以後謙信が死ぬまで北陸に侵攻することはありませんでした。天正6年(1578年)3月15日、春日山城で、急死。享年49。
<アクセス>
山形駅からは奥羽本線で米沢駅まで約50分820円。
米沢駅から循環バス右回りで約10分「上杉神社前」降車、200円。電車、バスともに1時間1本程度なので注意してください。徒歩で30分程度。
拝殿の右を行くと武具、刀剣、絵画など上杉謙信の遺品を中心したものが展示されている稽照殿(けいしょうでん)があります(写真左、入館400円)。写真右は神社の近くにある米沢三名園の1つ上杉記念館(旧上杉伯爵邸)です。記念館となってますが殆ど食事処です。手頃な価格で米沢牛や米沢鯉などの郷土料理も味わえます。
左が上杉謙信の像。右は上杉鷹山。上杉治憲(上杉鷹山)は、領地返上寸前の米沢藩の藩政を建て直し、生せは生る 成さねは生らぬ 何事も・・・の名言(元は武田信玄の成せば成るの・・言葉より)も残した偉大な人物。歴代のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディも日本人の政治家の中で一番尊敬している人物に挙げたとか。
左は米沢駅。駅構内には米沢牛がっ!上杉神社近くや駅周辺には米沢牛が食べられる店が多くあります。ちなみに山形市内のスーパーで普通に米沢牛と印刷された牛肉が売られていました。しかも凄い霜降りで安かったから驚きです。
上杉神社、上杉博物館
春日山林泉寺
上杉家廟所
法泉寺
米沢観光には循環バスがお薦めです。米沢駅から上杉神社までは道順が単純なので徒歩で歩けないことはありませんが30分程度かかります。循環バスはどこも200円ですが、色々回るのであれば一日乗車券500円がお得です。上杉謙信の墓は上杉家廟所にあります。ちなみに、新潟県にある春日山林泉寺、和歌山県の高野山にも謙信の墓がありますが、分霊、分骨されているためです。

●米沢市上杉博物館
上杉氏ゆかりの品々を展示している博物館。

<住所>
山形県米沢市丸の内1-2-1

<開館時間>
9〜17時(入館は16:30まで)常設展400円。

<アクセス>
上杉神社と同位置にあります。米沢駅から循環バス右回りで「上杉神社前」降車。約10分200円。
博物館は上杉神社と近い場所にあり、一帯は広い公園になっています。

●上杉家廟所
上杉家歴代の廟所で、上杉謙信の廟をはじめ、上杉家二代で初代米沢藩主の景勝から十二代の斉定(上杉家11代)までがこの地に眠ります。

<住所>
山形県米沢市御廟1-5-30

<営業時間>
9:00〜17:00 200円。
こちらが入口。この右手に無料駐車場があります。進んで参道の脇には家臣たちが奉納した石灯篭が並びます。入ってすぐ左には受付所と、小屋みたいな上杉家墓所資料館があります。
たくさんお墓が並んでいます。その中央にあるのが謙信公のお墓になります。謙信の遺骸は上杉家の移封に伴って、越後の春日山から会津若松へ、そこから1601年には米沢城に移されました。現在の地に葬られたのは明治9年のことです。また、米沢藩主の初代景勝廟から7代宗房廟までが入母屋造(火葬)で、8代重定廟から11代斉定廟・顕考廟までが宝形造(土葬)なのだそうです。
近づいていきます。
さらに近づく。当たり前ですが・・・
ドアップで。無駄に写真撮ったのでスイマセン・・・

しばらく廟をじっと見つめるも新潟の林泉寺のような背中に稲妻が走ったような不思議現象は起こらず・・・
謙信公の手前すぐ左にあるのが景勝の廟となります。ただし、上杉景勝の遺骨は高野山にあり、ここには火葬で残った灰や衣服が埋納されているのだそうです。

●霞城公園(山形城跡)
山形城は1356年に斯波兼頼(しばかねより)により創建されたと伝えられています。その後に最上義光(もがみよしあき)によって1595年頃より大規模に拡張され、天守はないものの当時はかなりの広さであったそうです。明治の頃になると埋め立てられてしまいましたが、現在も復元が進められています。写真は正門でもある二ノ丸東大手門。

<住所>
山形県山形市霞城町
<アクセス>
山形駅から線路沿いに歩いて約10分程度。

最上義光
戦国時代の武将、最上義光。長年の伊達氏の対立、家督相続による父との対立、さらには弟の中野義時とも対立し自害までさせてしまった最上義光。謀略などと悪いイメージの強い義光ですが、残っている史料は乏しく定かではありません。義光には美しいと評判の愛娘、駒姫がいました。その美しさに惹かれた豊臣秀次の執拗な要求にを駒姫を側室に差し出すことになってしまったのですが、その後に秀次は謀叛(反乱)の疑いで豊臣秀吉によって切腹させられ、駒姫を含む秀次の側室らも次々に処刑されてしまいました。義光は必死で助命嘆願をし、秀吉も渋々了解し馬を処刑場に派遣するも、あと一歩のところで間に合わなかった経緯があります。あまりのショックのため母である大崎夫人は処刑の14日後に自殺したと言われます。義光自身も謀叛に加担したと疑われますが、そのころから豊臣秀吉ではなく徳川家康寄りへと心が傾き、関ヶ原の戦いでは東軍に属すこととなります。関ヶ原の戦いでは上杉氏と激しく戦い、その功績により最上57万石の大大名となり山形市をはじめ、現在の酒田港の発展も義光によって基盤がつくられたと言われます。

●最上義光歴史館
山形繁栄の基礎を築き、山形藩の初代藩主でもあった戦国武将、最上義光(もがみよしあき)をはじめとする最上家関係の資料を展示しています。

<住所>
山形県山形市大手町1-53

<開館時間>
9時〜17時まで (入館受付は16:30まで) 無料 月曜日(祝祭日の場合は翌日)休み
<アクセス>
山形駅からバスで霞城公園前又は大手町で降車。七日町、山形駅からは徒歩で10〜15分程度です。

見所は多少なりともありますが、展示フロアは建物から想像できないほどに狭く、見学時間は10分程度でしょう。尚、館内は入口以外は全て撮影禁止となっています。

●山形市郷土館
元々は明治時代の済生館という病院の本館。この建物が現在の山形郷土館として残され、霞城公園内に移築されています。現在も済生館という病院が霞城公園付近に存在しますので、誰かに場所を尋ねたりタクシーで訪れる際には済生館ではなく山形郷土館と言いましょう・・

<住所>
山形県山形市霞城町1-8(霞城公園内)
<開館時間>
9:00〜16:30 無料 月、祝日、年末年始は休み

<アクセス>
山形駅から徒歩で15分程度。霞城公園内にあります。
擬洋風とは西洋の建物を見よう見まねで建てたもので、内部は和風建築です。異人館とは西洋建築を学んだ人が建てたものの違いで、この建物は明治時代の擬洋風の建物です。重要文化財にも指定されています。
建物内は医療医学に関する資料が展示されています。
写真は百味箪笥で、漢方で使われる植物の実や草などが引き出しに入っていました。

●山形県立博物館
山形の歴史や文化、自然などを紹介する県立博物館で 、国宝に指定されている日本最大の土偶、縄文の女神は見どころにもなっています。

<住所>
山形県山形市霞城町1-8(霞城公園内)
館内はこんな感じです。見学者は殆どいませんでしたが県立博物館だけあって、それなりに見応えがあります。
そんな人気のない博物館ではありますが、国宝に指定されている土偶、縄文の女神が常設展示されています。平成4年の調査で発見された西ノ前遺跡の土偶、縄文の女神は約4500年前の貴重なもので、高さは45cm、肩幅17cmと、全身のわかる日本の土偶の中では最大とのことです。

●山形県郷士館(文翔舘:ぶんしょうかん)
旧山形県庁舎及び県会議事堂です。文翔館(ぶんしょうかん)とも言われ、大正時代にイギリス・ルネサンス様式を基調としたレンガ造りも建物です。重要文化財にも指定され知事室や貴賓室など当時の家具も残されています。

<住所>
山形県山形市旅篭町3-4-51
<開館時間>
9:00〜16:30 月曜日(祝祭日の場合は翌日)、年末年始は休み
見学無料

<アクセス>
バスは市役所前降車、徒歩では山形駅から20分程度かかります。七日町からは歩いて7〜8分程度です。市役所方面に歩いて突き当たった場所です。
歴史を感じる立派な中央階段を上り、3階から2階へと見学していきます。
現在で言えば講堂にあたる正庁で、訓示や辞令交付等が行われていた部屋なんだそうです。
こちらは内務部長室。昭和初期には総務部長室として、その後昭和の中頃からは財政課として新県庁舎移転(昭和50年)まで使用されていました。
記念碑の回廊という明治時代から5つの時代に区分した資料展示コーナーもあります。
中庭です。日本じゃないみたい。
皇族や国の高官が来県した際に控え室として使用されていたという貴賓室。基本的に建物内は大理石にシャンデリアという豪華絢爛な内装なのですが、貴賓室はさらにゴージャス感があります。
こちらは知事室だそうで、こちらも新県庁舎移転(昭和50年)まで知事室として使用されていました。この部屋は、映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』のロケでも使われたそうですよ。
会計課・銀行出納係です。唯一のマネキンがいる部屋でした。その他にも立派な部屋が幾つもありますがキリがないので割愛します。
旧県庁舎の見学を終え、渡り廊下を通り抜けて隣の建物である旧県会議事堂へと向かいます。
外観はこんな感じです。こちらの建物も旧県庁舎と同じく国の重要文化財に指定されています。
旧県会議事堂は見所は少ないものの、県の公式行事やピアノの発表会、コンサートなども行われる議場ホールや来賓室、当時としては珍しい水洗トイレなんかも見学できます。


山形県の観光